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帰省の意味

昨日、お風呂に入っていて、はっと気づいた。父の手術から丸10年たったことを。

そういえばちょうど10年前の5月。父はもう半そでのパジャマを着て、病院の窓から見える緑鮮やかな山や担当の優しい看護師さんの絵を書いていた。前日にサインした手術の同意書、声が全く出なくなるなんて思ってもおらず、ただ、そこに「悪性」の文字があったことはよく覚えていると後から教えてくれた。

私は5月、仕事を2週間ほど休み、しばらく父についていた。8時間かかった手術から出てきた父の姿はあまりにも管や包帯がすごくて、救急の現場でどんな状態にもほとんど慣れていたはずだったのに、涙があふれて止まらなかった。

肩から首の筋肉をごっそり剥ぎ取られ、ぐらぐらと揺れる頭は砂のうで支えられ、声を失った気管にはチューブが取り付けられ痰があふれている。もしかしたらこのまま駄目かも、一瞬のうちにそんな思いが頭を駆け巡った。

東京に帰る日、付き添いの疲れもあって私は発熱。帰りの飛行機は最後部を3席占領し、それでもこうやって東京に向かう親不孝な自分が悔しくて悔しくて、飛んでいる間泣きっぱなしだった。

人間って本当にすごい。あれから10年。父の電話から伝わる声ははっきりとわかるし、剥ぎ取られた首の筋肉はゴルフの練習とともに再生し、ドライバーから放たれるボールは250ヤードを軽く超える。

あの5月、こんな穏やかな10年後が来るとは全く想像していなかった。あれから10年たったんだ~。人生、捨てたものじゃないね。

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